「はてな」提供サービスの非対称性、攻撃性について

Hagex氏殺害事件について。私はHagex氏を特に知るわけでなく、たまにTwitterなどで流れてくる記事を読んではあまりお上品でないという印象を持っていた程度ですが、事件の報道で得た情報から、思うところを書いておきたいと思います。ほとんどは推測、想像です。

  • Hagex氏は、犯人をウォッチ対象として見ていなかった
  • 一方で犯人はHagexを強く意識していた。相手されなかったことが、攻撃性を高めたのではないか
  • つまり「ネット上のトラブルによる事件」ではなく「ネット上ではまともなぶつかり合いに至らなかったことによる殺人」の可能性はないか
  • こうしたわけのわからない攻撃性を持つ人間の受け皿として、現在はてなが機能してしまっていないか?

Hagex氏は犯人(容疑者)とされる人物について1回しか言及していない。だから殺害対象は実のところ「誰でもよかった」のではないか、という推測に違和感がある。ネットウォッチャーであるHagexにとって犯人は面白みのあるウォッチ対象でなかったのはおそらく確かで、だから1度のみ、しかもごく事務的な言及にとどまったのではないか。

一方で犯人は、はてなのコミュニティで目立つ存在であったHagex氏を極めて強く意識していたのではと想像する。Hagex氏は何度もはてなブックマークIDコールで暴言を送られたと書いているし、犯行声明とされる書き込みの“俺を「低能先生です」の一言でゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前ら”という言及は、Hagex氏が一度だけ書いた記事を意識したものであろう。煽り返して(まともに相手をして)もらえず事務的な対処しかされなかったことも、面白くなかったのかもしれない。

両者は非対称的な関係であった。そして、はてなのサービスの中でも「はてなブックマーク」というのは極めて非対称性と攻撃性の高い、コメントで攻撃される側にとってはたまったものではないサービスである。

コメントの一覧という形で悪意が吹き上がり、攻撃対象が反論する術はない(非表示にするなどはあるが)。攻撃対象になるブロガーなどへの悪影響については多くの人が長い間指摘しているはずだが、はてなはサービスを見直す意向を示したことは(記憶にある限り)ない。

犯行声明が書き込まれたはてな匿名ダイアリーは、匿名で発言するという点でこれまた非対称性の高いサービスであり、やり取りされる内容の攻撃性も高い。

今の主流はユーザーが1つのアカウントのアイデンティティを保持しながら周囲と交流するSNSだが、今どき匿名で言いたい放題という攻撃性の高いサービスを、なぜかはてなは提供し続けている。こちらもやめた方がいいと多くの人が指摘しているはずだが、はてなが見直す意向を示したことは(これまた記憶にある限り)ない。

今のネットにおいて、1ユーザーとしてのアイデンティティを保って交流しようという意思がなく、ただただ攻撃的に振舞いたいと考える人間が辿り着く最有力候補が、はてなになっているのではないか? という気がしてならない。これは「気がしてならない」だけで特に何かの事実に基づくわけではないので、できれば反証を聞きたいぐらいなのだが。