日大アメフト部、特に「曖昧な指示」の問題

この件、誰もが選手としてタックルさせられるハメになりうるし、また「指示していない」と心の底から言ってしまう立場にもなりうると思い、非常に関心を持って見ています。

追い詰められ「空気を読み過ぎて」しまった結果も罪なのか?

監督もコーチも、おそらく相手チームの選手をどうしてもケガさせたいとは考えていなかった。詳しい理由はよくわかりませんが選手に何か気に入らない点があって干し続け、途轍もないレベルの忠誠心を見せれたら扱いを考え直してやらんこともない、ぐらいの気持ちで、最悪でかなり深刻なケガをさせる可能性もある、曖昧な指示を出したのでしょう。

選手は長期間に渡って追い詰められた結果「空気を読みすぎて」しまった。サービス精神というとナニですが、過剰に空気を読み、言葉のそのままの意味以上に求められることをやってしまったのだと思います。これもまた忖度か。

ある種の便利な「鈍さ」を持ち合わせない人が追い詰められていったら、誰だって同じようになるでしょう、おそらく。

「指示していない」は意外と本心ではないか?

監督もコーチも、どうも試合終了直後は「ホントにやりよったわ!」ぐらいに思っていた感じがしてならない。しかしコトが大きくなった段階で、心の底から「そんな指示はしていない」と、脳内でストーリーを切り替えちゃったんじゃないかなあ。曖昧な指示から取れる意味の範囲で。

誰しも、相手が気を利かせてくれることに期待しつつ曖昧なことを言ってしまうことってあると思うんですよね。「いやーこれ普通にやったら3日はかかるだろうけど明日上げてくれたら嬉しいなあ」という意味で「なる早でお願いします」とか言っちゃったり。

で、そのとき、相手がサービス精神にあふれた返事をしてくれたら、つい都合のいい方向に期待してしまう。一方でクールに「なる早っていつですか?」と返されたら、頭を冷やしてえっとーそうですねー…と考えざるを得ない。

監督やコーチが「潰せ」とか具体的な意味が曖昧なことを言った結果がこんなことになったとき、一種の防御機能としてあとで記憶を都合よく作り替えることもあるだろうなあと思いました。自分が描いた「潰せ」はそんなバレバレかつやりすぎではなく、もっと上手いことこう…つまり、広報を通して言っていた「指示していない」という話は狡猾な嘘や言い訳ではなく、彼らにとってはわりと(現時点での)本心ではないか、それだけに、よりタチが悪いなと。

そして「潰せ」のような汚い言葉を使うのは、単にお下品であるだけでなく、ひどい意味まで含んでいるという点でもよくないなと。

さんざん圧力をかけられ、曖昧な指示の意図を言葉の意味以上に読み取った結果「そこまでは言ってない」事態を引き起こした場合、実行側と指示側にどのような罪や責任が発生するのかがまったくわからず予想もつかず、裁判の結果を見守りたいと思っています。

選手は救われてほしい。やむを得ない理由で道を踏み外してしまったあとでも、正直で真摯であることが最善の生き方だと証明されてほしいです。